はじめに|「人手不足=良いこと」という違和感
「日本は人手不足だから本当は悪くない」
こんな意見を耳にしたことはないでしょうか。
中国では大卒でも就職できない。
韓国でも若者失業率が高い。
アメリカでもレイオフと再就職競争が激しい。
それに比べれば、日本は仕事がある。
人手不足なのだから、いずれ賃金も上がるはず——。
理屈は正しそうに聞こえます。
しかし現実はどうでしょうか。
賃金はほとんど上がらない。
それなのに物価だけがじわじわ上がる。
この「ズレ」はどこから来ているのでしょうか。
人手不足は本当に悪くないのか?
結論から言うと、
人手不足そのものは、必ずしも悪ではありません。
経済学的には、
人手不足
→ 企業が人を奪い合う
→ 賃金が上がる
→ 労働者の生活が良くなる
これは正しい流れです。
実際、中国や韓国のように
「人が余っている国」では
企業は賃金を上げる必要がありません。
「代わりはいくらでもいる」からです。
つまり
人手不足は、本来なら労働者に有利な状態
であるはずなのです。
なぜ日本では賃金が上がらないのか?
ここが最大のポイントです。

① 企業が賃金を上げられない構造
日本企業の多くは、
・利益率が低い
・下請け構造が強い
・価格転嫁が極端に苦手
値上げをすれば客が離れる。
だから賃金を上げられない。
結果として企業は、
・残業でカバー
・人を減らして回す
・非正規や派遣に頼る
という選択をします。
人手不足でも、賃金を上げる体力がない。
これが現実です。
—
② 外国人労働者が賃金を押さえている
もう一つ、見逃せない要因があります。
ベトナム
ネパール
インド
フィリピン
こうした国々から来る労働者は、
日本人より低い賃金でも働く動機があります。
その結果、
「賃金を上げなくても人が来る」
という状態が生まれます。
市場原理的には、
これは人手不足を緩和してしまう行為です。
つまり
👉 賃金が上がる圧力が弱まる。
—
③ 物価だけが上がる理由
では、なぜ物価だけが上がるのか。
原因は労働とは別です。
・エネルギー価格
・原材料高
・円安
これらが直接、生活費を押し上げています。
結果として、
賃金:ほぼ横ばい
物価:確実に上昇
一番つらい状態が続いているのです。
人手不足の「本当の問題点」
短期的には、
・医療・介護・物流が回らない
・地方インフラが維持できない
・中小企業が消えていく
長期的には、
・生産性が上がらない
・技術投資が進まない
・人を大切にしない企業が生き残る
人手不足を“ごまかし”続けることで、
日本はじわじわ弱っているのです。
—
☆第2部へ続く
では、
・外国人労働者を増やすのは正しいのか
・最低賃金は強制的に上げるべきか
・この先、日本はどうなるのか
次回【第2部】では、
この3つを一本のストーリーとして解き明かします。


コメント