霞の向こうに、夕焼けが滲んだ。

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Osaka Twilight  —  天満橋

霞の向こうに、
夕焼けが滲んだ。

— A dusk I did not expect to remember —



大阪市中央区、天満橋。
西へ向かう空の端が、橙色に溶けていた。
4月10日、金曜日の夕暮れどき。
桜の通り抜けを終えた人々が、
それぞれの帰り道に、この橋を渡ってゆく。
車の流れ、バイクの音、自転車のベル。
いつもの大阪の、いつもの喧騒。
— けれど、今日の空は、違った。
雨が降り、空気が洗われていた。
大川のほとりに、白い霞がたゆとい、
川面も、街も、夕陽も、すべてが
うっすらとベールをまとっていた。

霞がかかると、
光は輪郭を忘れ、
ただ、やわらかく滲む。
それが、あんなにも美しかった理由だと思う。

天満橋の夕焼け
この街でこんな景色に出会えるなんて、
と思いながら、
気づけばiPhoneを空に向けていた。
得をした、という感覚とも違う。
ただ、しずかに、胸が満ちていた。
水の都、大阪。
桜の季節の、ある黄昏。
川に霞が宿る、そのほんの一瞬に
偶然に居合わせた、それだけのことなのに。

それだけのことが、
忘れられない風景になる。

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