──「目的型外食」という甘くて危険なビジネスモデルの正体

※この記事は12分ほどで読める内容です。
最近、YouTubeで「鰻の成瀬」の経営戦略を解説する動画を観ました。
正直に言います。
「これは…めちゃくちゃ頭のいいビジネスだな」
同時に、
「あ、これ…あのパターンだ」
とも思ったんです。
そう、
東京チカラめし
いきなりステーキ
かつて一気に全国を席巻し、そして一気に姿を消していった、あの外食チェーンたちの匂いです。
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鰻の成瀬の戦略は、驚くほどロジカル
まず、鰻の成瀬の戦略は、感情論ではなく数字と構造で組み立てられています。
①鰻は「目的型の食事」である
これは本質を突いています。
• 「今日、何食べようかな〜」
→ マクドナルド、牛丼、ラーメン
• 「今日は鰻が食べたい」
→ ネットで調べて、その店に行く
つまり鰻は衝動型ではなく、目的型。
だから、
• 駅前一等地である必要はない
• 二等地・三等地でも成立する
• 家賃を抑えられる
これは、経営的に見て非常に美しいロジックです。
② 職人を捨て、徹底的に自動化
さらにすごいのがここ。
• 自動の蒸し機
• 自動の焼き機(特別仕様)
• 飲食未経験のバイトでも回せる
• 通常20〜30分かかる工程が10分
あの有名な、
「串打ち三年、焼き一生」
を、完全に無視。
これは職人文化への挑戦であり、同時に革命です。
③ 中国産うなぎ、でも「うまい」と言われる
食材は中国産。
にもかかわらず、
「国産の店より美味しい」
というコメントが並ぶ。
中国で養殖し蒲焼き→冷凍→夏でも冬でも
適度に脂がのっていて美味しくいただける。
ここまで聞くと、こう思いますよね。
「え、これ最強じゃない?」
実際、初期フェーズでは最強だったと思います。
でも、ここから空気が変わる
数年が経ち、今、何が起きているか。
• 中国産であることが知られる
• 職人ではなく、バイト×自動化だと知られる
• SNSや口コミで「安さの理由」が共有される
そして、
• 客足が減る
• 閉店が増え始める
……あれ?
これ、どこかで見た光景じゃないですか?
東京チカラめし・いきなりステーキと「同じ構造」
冷静に見ると、3つの業態は驚くほど似ています。
共通点
• 目的型外食(鰻・ステーキ・焼き牛丼)
• 職人を排したオペレーション簡略化
• 原価・人件費の極限削減
• 急速な全国展開
• 初期は「コスパ神話」でバズる
そして必ず起きたこと
• 最初:「安い!早い!うまい!」
• 数年後:「あれ…?」
• 正体が見えた瞬間、わざわざ行く理由が消える
ここで重要な一文を。
目的型外食は、“失望された瞬間に存在理由を失う”
日常食じゃないからこそ、
一度ガッカリすると、次がない。
鰻の成瀬の「致命的になりかねない弱点」
① 情報が隠せない時代
今は、
• SNS
• Googleレビュー
• YouTube
「安い理由」は、一瞬で共有されます。
しかも一度ついたイメージは、なかなか消えない。
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② 鰻は“ストーリーで食べる料理”
鰻って、本来は
• 希少性
• 伝統
• 職人技
• ハレの日のご馳走
そういう物語込みで成立している食べ物です。
そこを全部切り捨てた業態は、
最初は新鮮でも、
必ず文化的な反発が起きる。
③ 「安い非日常」は、飽きるのが早い
• マクドナルド:日常
• 鰻:非日常・ご褒美
非日常で「安さ」だけを売ると、
リピートの理由が弱い。
これは、かなり厳しい。
それでも、二の舞を避ける道はあるのか?
結論から言います。
理論上はある。
ただし、今の思想のままでは厳しい。
戦略① 「安くて本格」を捨てる
もうこれは危険ワードです。
• 「職人品質を機械で再現」
• 「老舗と同じ味」
信じてもらえません。
正直路線に切り替えるべき。
• 「令和型ファスト鰻です」
• 「伝統鰻ではありません」
• 「毎日食べられる鰻」
👉 期待値を下げると、満足度は上がる
戦略② 「鰻屋」ではなく「鰻定食チェーン」になる
再定義が必要です。
• × 老舗鰻屋の代替
• ○ 鰻を使った定食業態
例えば、
• 鰻×唐揚げ
• 鰻×だし巻き
• 鰻×別の主菜
主役を一本にしない。
失望リスクを分散する。
戦略③ 出店数を、あえて絞る
いきなりステーキ最大の失敗はここ。
• 出しすぎた
• 薄まった
• 摩耗した
「1000店」より
「300店で止める勇気」
これ、めちゃくちゃ重要です。
戦略④ 自動化は“裏方”に徹する
• × 自動だからすごい
• ○ 待たせない、安定している
客は、
「楽をしている店」より
「自分の時間を大事にしてくれる店」を評価します。
正直な話をすると
冷静に見て、
• 鰻という食材
• 日本人の価値観
• 情報が隠せない社会
この3つが揃うと、
「安価・大量・自動化の鰻」は、
長期ブランド化がかなり難しい。
東京チカラめしも、いきなりステーキも、
• 初期戦略は正しかった
• でも「修正戦略」を持たなかった
鰻の成瀬は、今まさに分岐点にいると思います。
まとめ(これだけ覚えてほしい)
鰻の成瀬が生き残る道は、
「伝統鰻屋を倒す」のをやめ、
「令和の鰻定食チェーン」に
自分を定義し直せるかどうか。
このテーマ、めちゃくちゃ面白いです。
「もし自分がこの業態を経営するとしたら?」
という仮想設計も、かなり学びになります。


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