「賢い人は、感情に流されない」
なんとなく、そんなイメージを持っていませんか?
確かに、冷静に物事を分析したり、落ち着いて対処する姿には「知性」を感じますよね。
でも、本当のところはちょっと違います。
実は、本当に賢い人ほど、“感情”を大切にしているんです。
「感情を抑える」ことと「感情を扱える」ことは、まったく別物
賢い人は、決して感情を「無視」したり「押し殺す」わけではありません。
むしろ、自分の中に湧き上がる感情を、ちゃんと見つめて、理解し、上手に扱っているのです。
ここでひとつ、大切な問いを投げかけさせてください。
あなたは、怒りやイライラ、不安、悲しみを「コントロールできている」と思いますか?
それとも「感情に振り回されている」と感じることが多いでしょうか?
たとえば、こんな場面を想像してみてください。
• 子どもがなかなか言うことを聞かない。ついイライラして大きな声を出してしまった。
• パートナーがこちらの気持ちをわかってくれないと感じて、言い争いになった。
• 職場で理不尽なことがあり、感情的になって後悔した。
こんな経験、誰にでもあると思います。
感情って、とても人間らしくて自然なもの。
だけど、それに支配されてしまうかどうかが、
知性の“成熟度”を大きく分けるポイントになるのです。
感情は「敵」じゃない。「知性の材料」にするもの
怒りや不安、悲しみ、焦り。
これらはすべて、心の「メッセージ」です。
たとえば、
• 怒り →「大切にしたいものが脅かされている」
• 不安 →「先が見えなくて、どうすればいいか分からない」
• 悲しみ →「何か大切なものを失った」
こうして感情の裏側にある「本音」に目を向けること。
それが“感情を知性で扱う”ということなんです。
子育ての場面で見えてくる「感情と知性」の関係
子育てをしていると、本当に感情のジェットコースターですよね。
私も自分の子どもに何度も「なんでこんなことするの!?」「もう限界…」と思ったことがあります。
でも、あるとき気づいたんです。
感情をぶつけてしまったとき、子どもは“行動”じゃなくて、“親の感情”を学んでいる。
たとえば、親がイライラして怒鳴ると、
「〇〇しちゃダメなんだ」ではなく、
「怒っているときは、大声を出していいんだ」って学ぶんですよね。
だからこそ、感情を持つこと自体を否定せず、
「どう表現するか」「どう対応するか」を、
私たち大人が少しずつ練習していくことが大切だと思うんです。
夫婦関係でも、感情を上手に扱える人は強い
パートナーとの関係も、感情のやりとりが本質ですよね。
特に長く一緒にいればいるほど、「気づいてほしい」「わかってほしい」という思いが、摩擦を生むこともあります。
でも、ここで試してみてほしいのは——
「相手を変える前に、自分の感情に名前をつけてみる」ということ。
たとえば、
• 「悲しいんじゃなくて、寂しかったんだ」
• 「怒っているんじゃなくて、ちゃんと認めてほしかっただけ」
こうして感情の“正体”が見えてくると、
不思議と相手を責める気持ちも和らぎます。
そして、言葉のトーンが変わります。
すると、相手の反応も変わっていく。
感情に“距離”をとることが、冷静さをつくる
ここで少しだけ「脳の話」を。
私たちが感情に流されやすくなるのは、脳の「扁桃体」が興奮している状態です。
このとき、論理や判断を司る「前頭前野」の働きが一時的に鈍くなります。
でも、深呼吸したり、一旦その場を離れるだけで、
脳のバランスは徐々に整ってきます。
だから、イライラしたらまず「少し距離を取る」だけでも、
感情に飲まれずに済むようになります。
感情に強い人は、自分にやさしい人
感情をうまく扱えるようになる最大のコツは、
「自分の感情を否定しないこと」です。
「怒っちゃダメ」
「泣いちゃダメ」
「弱音を吐いちゃダメ」
こういう“感情禁止ルール”が、自分を追い詰めます。
感情を感じることは、恥ずかしいことでも、弱いことでもありません。
むしろ、ちゃんと感じられることこそ、強さの証なんです。
最後に:知性と感情が調和したとき、人はもっと美しくなる
本当に賢い人は、冷たくなんかありません。
むしろ、温かくて、しなやかで、思いやりに満ちています。
それは、知性と感情がバランスよく調和しているから。
• 自分の気持ちに正直で、
• 相手の感情にも配慮できて、
• 未来のことも考えて動ける
そんな人は、仕事でも家庭でも、自然と信頼されていきます。
今日の小さな習慣
最後に、感情をうまく扱えるようになるための「3つの小さな習慣」をご紹介します。
1. イラッとしたとき、自分にこう問いかけてみる:「私は今、何を守ろうとしているんだろう?」
2. 感情が高ぶったときは、まず深呼吸。10秒待ってから話す
3. パートナーや子どもに「今、どんな気持ち?」と聞いてみる習慣を持つ
まとめ
知性は、冷たいロジックではなく、感情との“対話”の中で磨かれていきます。
家庭の中で、感情を大切にしながら、
自分も、相手も、よりよく理解し合えるようになること。
それが、今の時代にもっとも必要とされる「人間らしい賢さ」なのかもしれません。
あなたも、今日から少しずつ。
感情を味方につけて、“本当の知性”を育てていきませんか?
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